特許分析サービス・特許ランドスケープ

特許分析サービスの概要

「特許分析サービス」は、膨大な量の特許文献をデータのリソースとして、目的に応じた特許データを様々な観点で分析し、より高度で戦略的な情報を得るための分析サービスです。慣用的に古くは「パテントマップ」「特許マップ」の作成、全体俯瞰を行うとからランドスケープなどと呼ばれています。

特許データの量が多いことから、古くは「情報のダウンサイジング」→「ミクロ分析からマクロ分析」→「ビッグデータの可視化」→「ランドスケープ」という流行語が用いられていますが、ここで言う「特許分析サービス」は、もう少し幅広い意味合いで使用しています。

多次元尺度法によるマイニングの例

「パテントランドスケープ」は2007年出願の株式会社プロパティの商標です

特許分析サービスの全体像

以下は、目的別にどのような特許分析が適応できるかを示しています。ご依頼の際の参考として下さい。

【開発者に対しての発想の触発材料としての特許分析】

明細書情報をダウンサイズしてカード化した特許題材の作成、KJ/NM法・TRIZといった発想技法アプローチによる特許分析・解決課題手段を決定木的に表現する特許マップの作成は、ブレーンストーミング等の方法と同様に他社の発明者の発想を学んだり、自身のオリジナルな発想を確認するなど、発明者の開発意欲の触発や動機付けが期待できます。

【自社の技術・権利ポジションを把握するための特許分析】

時系列軸と技術軸を基にしたフィッシュボーン等の出願系統図やバブルチャートは、他者の傾向性の中に自身を置いて俯瞰することで、強みや弱みを観察できます。ポートフォリオ的なT分析、SWOT等の配置手法を取り入れることが効果的です。

【人的資産を確認する特許分析】

発明者×出願年によるエントリ・エグジットマップは、関心のある技術分野でどの様な人的資産の傾向性があるかを俯瞰できます。また、関心ある技術分野から発明者を抽出し、その発明者群で再検索をかけて他に広がりを見せる技術分野やルーツとなる技術分野を俯瞰することで、今後の人的資産をどう確保するか等の分析もできます。(動的な特許マップの作成)

【知的財産部門のパフォーマンス計測または企業としての特許評価分析】

登録率や審査請求率、外国出願率等の重み付可能な要素を用いた定量分析を行うことで特許評価的な統計グラフの作成、計算式による比較評価、グラフ表現の工夫などは、単に出願数の統計マップとは異なり、より実質的な他者評価、自己評価を行うことが可能です。評価的な統計数値出力には、様々なアプローチがあります。

【権利侵害の防止または優位性の維持などを確認する特許分析】

侵害回避調査の結果を分析的にアウトプットすること、例えば、権利範囲を特許性質に分解して権利マップを作成することで、自社の技術開発方針を決めたり、これに自社の権利範囲を加えることで他社への影響力等を観察できます。

【新規参入を考慮した自社のロードマップを得る特許分析】

新規参入を考慮した特許分析は、より明確な参入計画を導き出すために多くの分析アプローチを取り入れて成立します。「特定の技術市場への新規参入」等の具体的な動機や目的がある場合には、一つのプロジェクトととして捉え、時間をかけつつ分析方法も変えながら行います。固定的な母集団からの件数データによる表・グラフ作成、性質データによる図表の作成だげでなく、数回に亘る関係者とのミーティングを経て、軌道修正をしつつ、時には母集団を変えて様々な視点から分析し、最終的にそれ等をまとめて得るランドスケープレポートの作成は、技術経営視点という俯瞰の頂点へ引き上げることができます。ここでは、単なるアウトソーシングサービスではなく、ご依頼者と共に考えること、また、分析に用いる情報リソースとして特許文献のみに縛られないことが非常に効果的です。

技術分析力の強化と様々な試み

最近の商用データベースの多くには、簡易的な集計機能やマイニング機能が付属しています。しかし、緻密でより実態に近いマップを作成するためには、データを丁寧に加工する必要があります。弊社では、2000年前後に特許分析にデータマイニングを導入した当初から、自社でアプリケーション<ブレインデータビュア>を開発しつつ、よりファインな特許分析を可能としています。また、2018年に同じコンセプトを持つインドSPA社との業務提携により、特許分析の幅をワールドワイドに広げる試みをしています。